パット剥がれ修理のご依頼を頂きましたので、内容を解説いたします。
下記のような方に参考になるような内容です。
- パット剥がれ修理に挑戦したい方
- ジャンパー線を使ってパターンを修復したい方
- 基板を破損させてしまい、修理方法を知りたい方
- 依頼したら、どのような方法で修理してくれるのか知りたい方
難易度は少し高めです
修理依頼の経緯
修理依頼の内容はこちら↓↓↓
- 表面実装の電解コンデンサを3箇所交換する際に、基板を焦がしてしまった。
- 電解コンデンサを外す際に、別の電解コンデンサを破損させてしまった。
修理前の基板です。
電解コンデンサが二個並んでいたと思われる部分は、ハンダが付いているので、パットは無事のようですね。
外す際にリードが折れて残ったままのようですが、問題ないでしょう。
もう一ヵ所の電解コンデンサ部分はこちらです。
焦がしてしまったとお聞きしていましたが、写真下側のパットが剥がれてしまっていますね。
これは修理が必要です。
最後に、部品を外す際に、近くの別の電解コンデンサを破損させてしまったと言われていた部分がこちら↓↓↓
これは、電解コンデンサのアルミパッケージ部にハンダが付着しただけのようなので、たぶん大丈夫でしょう。
後ほど確認しますが、簡単に外れるはずです。
以上が、今回ご依頼頂いた基板の問題部分になります。
基板を清掃して問題個所の確認
修理を始める前に、基板を清掃して問題個所の確認をしっかりとしていきます。
初めに、電解コンデンサのアルミパッケージ部に付着したと思われるハンダを取りましょう。
ピンセットなどで力を加えると、外れましたね。
想定していたとおり、ハンダが付着しているだけだったね!
次は、パットに付いているハンダを取り除きましょう。
付いているハンダ量が多いので、コテ先でハンダ量を減らし、その後はんだ吸い取り線を使ってハンダを完全に除去しました。
これを3箇所行います。
パットが傷んでいる可能性がありますので、注意しながらハンダを除去しなければいけません。
ハンダの除去が出来ましたね。
パットが剥がれている部分はハンダが付きませんので、このままでOKです。
ハンダを全て取り除けたので、基板へのダメージなども確認するため、基板を洗浄します。
こんな感じになりました。
綺麗になったので見やすいですね。
それでは、状態を確認していきます。
電解コンデンサが並んでいる部分(写真①)は、損傷はなさそうですね。
こちらは、新しい電解コンデンサを実装するだけで大丈夫でしょう。
パットが剥がれている電解コンデンサになります。
パットがあった部分をよく見てみましょう。
どうやら、パットからパターンが引かれていたようですね。
パットが無くなり、ここで断線しています。
このパターンは、少し上側にある電解コンデンサに繋がっているようなので、一応、テスターで確認しておきます。
断線したパターンの端っこは、レジストが剥がれて銅が見えています。
その部分と、少し上にある電解コンデンサが繋がっているか確認してみると・・・
導通があったね
なので、パットが剥がれていますが、こちらに電解コンデンサを方端だけはんだ付けし、パットが剥がれている側(+側)の端子から、少し上にある電解コンデンサにジャンパー線で接続してあげれば修復できるでしょう。
以上で、問題個所の確認が出来ましたので、まずは、パットに問題がない二個並びの電解コンデンサをはんだ付けしていきます。
電解コンデンサを実装
並んでいる電解コンデンサ二個をはんだ付けしていきます。
ここで、ちょっとしたイレギュラーがありました。
実は、二個並びの電解コンデンサを一個づつはんだ付けしようと、上側の電解コンデンサからはんだ付けしました。
その後、下側の電解コンデンサをはんだ付けしようとパットの上に部品を乗せると、・・・。
お~っと!?
下に配置されている抵抗に干渉するではありませんか!
元から実装されていた部品より、若干サイズが大きいのか分かりませんが、どうやってもパットからはみ出しそうです。
一度はんだ付けした電解コンデンサを外し、位置合わせだけしてみると、・・・。
やはり、このままではダメですね^^;
ここで仕方なく、依頼者さんに連絡しました。
部品の土台となっている樹脂部分を少し切断すれば、何とか実装できそうなので、その許可を頂きました。
ご支給いただいていた部品サイズが違っていたようですね
では、土台の樹脂部分をニッパーで切断して、パットの上に電解コンデンサを仮置きしてみると、なんとかパットの上に配置できました。
ようやくここからはんだ付けです。
詳しいはんだ付け方法は解説しませんが、こんな感じではんだ付け出来ました。
次は、いよいよパット剥がれ部分の修理になります。
パット剥がれ修理
では、パットが剥がれた部分を修理していきましょう。
まずは簡単に修理をする流れを解説しておきますね。
- 電解コンデンサを片側だけはんだ付けする。
- パットが剥がれ、パターンが断線した部分を修復する。
- 洗浄する。
- 電解コンデンサを固定する。
このような流れで、修理を行います。
では、流れに沿って修理していきましょう。
片側のパットが剥がれているので、残ったパットにだけ電解コンデンサをはんだ付けします。
私は電解コンデンサを固定せずにはんだ付けしていますのが、参考にされる方はマスキングテープなどで固定してからはんだ付けするようにしましょう。
フラックスを使うとはんだ付けがやり易いかと思います。
パットが剥がれ、繋がっていたパターンが断線している状態なので、電解コンデンサのプラス側のリードと、少し上にある電解コンデンサのプラス側のリードをジャンパー線で接続します。
まずジャンパー線の加工を行います。
パットが剥がれている電解コンデンサの左側を通るルートで加工していきます。
右側のルートでジャンパー配線しようと思ったのですが、チップ抵抗の左隣に部品が乗っていない事が気になりました。
もしかしたら、電解コンデンサを外す際に部品が取れてしまった可能性もあるなと思いました。
いずれ部品を取り付ける可能性があるのであれば、ジャンパー線が通ると邪魔になると考え左ルートでの配線を選択しました。
ジャンパー線の加工ができたら、はんだ付けです。
パットがない側の電解コンデンサーは、ジャンパー線をはんだ付けするリードが少ししかありません。
難易度が高く、はんだ付け不良になる可能性が非常に高いです。
なので、電解コンデンサのリードとジャンパー線が確実に馴染むようにはんだ付けを行います。
フラックスを使っていますので、洗浄しておきましょう。
ただし今回は、電解コンデンサの片側(下側)のパットがなく、もう片側のリードだけでパットに固定されています。
なので、電解コンデンサに負荷をかけると、はんだ付けされている側(上側)のパットを剥がしてしまう可能性がありますので、負荷をかけないよう慎重に洗浄する必要があります。
片側のパットでしか、はんだ付けされていませんので、電解コンデンサを固定する必要があります。
シリコンや樹脂など導電性のないもので接着させます。
専用のものではありませんが、レジン液がありましたので、こちらで固定させました。
紫外線ライトで簡単に固まるので便利ですね。
こんな感じに仕上がったよ〜
以上で、パット剥がれ修理は完了となります。
まとめ
電解コンデンサのはんだ付けと、パット剥がれ修理の様子を解説しましたが、如何だったでしょうか?
DIYで電解コンデンサの交換をされる方って結構多いんだね!
YouTubeで動画を見て挑戦される方も多いと思いますが、実はそんなに簡単ではありません。
今回の依頼者さんも、動画を見て簡単そうに思えたので挑戦されたとお聞きしましたが、意外と難しいんですよね。
初めて挑戦されるほとんどの方は苦戦するんじゃないかなと思います。
なので、高価な機器の修理に挑戦される方は、一度、壊れても良い基板などで練習をして、少し慣れてから本番に挑戦すると言った感じでされるのが良いかと思います。
因みに、今回ご依頼いただいた基板ですが、無事に動作が確認できたようです!
この度は、修理のご依頼ありがとうございました。
もし、「依頼したい」とか「相談したい」などございましたら、ご連絡いただけると嬉しく思います!
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